「信じる者は救われる」という言葉がありますが、今時は安易に信じると、とんでもない目にあうことも少なくありません。私たちが研究・教育しているダイエットもサプリメントも特に、そのことが言えます。他人の口コミを、そのまま信じる人は減ってはいるものの、医師などの発言や科学的なデータを示されると本物の情報と信じてしまうところがあります。例えば、ダイエットサプリメントの効能効果を示すデータがあっても、それが人間を対象とした結果なのか、それとも動物実験の結果なのかが明らかでないこともあります。
ネズミを使った試験でも過去には人間と大きく変わらないデータがあったとしても、そのサプリメント成分に対して動物と人間が同じ試験結果になるとは限りません。もともと動物が食べていなかった成分が大量に入ってくると過敏な反応をすることが多々あります。ネズミにリコピンを大量に与えたらダイエットできたという結果がテレビ報道されたことで、リコピンだけでなく、リコピンが含まれたトマトジュース、トマトも売り切れたということもありました。
人間の結果だと安心してしまうことはあります。しかし、その試験対象がサプリメント・健康食品の対象である年齢層と合っていないこともあります。高齢者が使うサプリメント・健康食品なのに、若い男性で試験をしたものもあります。そもそもサプリメント・健康食品の試験は妊娠可能な年齢の女性と子供では試験が行われていません。特定保健用食品(トクホ)も機能性表示食品も人間対象の試験結果によって許可されていますが、これも対象者と試験を実施した人が合っていないものもあります。
機能性表示食品は消費者庁が各製品のデータをサイト上に公開しています。それをよく見ると、広告で打ち出しているイメージと違っているものもあります。足元をすくわれないようにするためには、こういったデータも見る必要があります。