「エネルギーを制する者は世界を制す」と言われます。過去には「石油を制する者は世界を制す」、「電力を制する者は世界を制す」、「穀物を制する者は世界を制す」と言われてきました。
そして、今は「エネルギーを制する者は〜」と変わってきたわけですが、天然ガスを止められたら社会が動かないということは、ウクライナとロシアの争いがヨーロッパ各国に拡がったときに、「なるほど!」と感じた人は多かったかと思います。自国のエネルギーを考えたら、同盟国の言いなりになることはできない、というくらいに、エネルギーは大きな力となっています。
原子力発電所が動かなくても火力発電で補うことができると言われても、カーボンニュートラル問題を考慮すると簡単に元の発電に戻すことは、そう簡単なことではありません。「環境問題はセクシー!」などと言って、軽く受け流すわけにはいかないのです。
かつてアメリカと覇権を競っていたロシアが、急速に勢いを落とす結果となったのは、穀物戦争に負けたことが大きく影響しています。世界の穀物は、アメリカの2社、フランス、オランダ、スイスの各1社の計5社の五大穀物メジャーによって動かされてきました。穀物流通を押さえられたら、生きていくためのエネルギーがなくなるので、反目することもできません。
そのときの苦しさを経験したロシアは、穀物生産に力を注いで力をつけて、隣国のウクライナの穀物を運び出す海上交通の要衝も押さえました。その力を得てから、熱源としてのエネルギーを裏付けに行動を起こしたということです。
日本人の1日の食事による摂取エネルギー量は、終戦直後の1945年(昭和21年)には食糧難から1909kcalでしたが、経済発展に伴って2226kcalまで上がり、そこから健康対策で摂取エネルギー量が減り始め、2005年(平成17年)には1904kcalに下がり、最も少なかった2011年(平成23年)の1840kcalから2019年(令和元年)には1903kcalにと、今では終戦直後と変わらない状態になっています。
コロナ禍の影響に加えて、海外からの食品輸入が減り、価格が上昇している中、さらに摂取エネルギー量は減っている可能性があります。このようなエネルギー摂取の状態で、世界に勝つことができるのか、そのことを考え、健康面を維持するためにできるように案内していくべきタイミングになっているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)