健康あない人44 薬品の安全性試験

かつては薬害というのは、医薬品の有効性を重視するあまりに、安全性の研究が後回しとなり、市販された後に医薬品による影響が報告される中で、身体的な被害の原因が医薬品の成分であったことがわかったという状況がありました。

医薬品は、本来は複数の試験が行われ、最終的に安全性が確認されたものしか販売されないことになっています。初めは非臨床試験(動物実験)が行われ、医薬品成分の有害性(どんな副作用があるか、遺伝の特性はあるのか)が確認されます。マウス試験では、副作用が現れ、実験動物が死ぬまでの状態を観察します。その後に少しだけ身体が大きなラットを用いて、副作用の詳細が確認されます。

その後にウサギ、犬(主にビーグル犬)、猿といったように、だんだんと大きな動物が使われ、体重が大きな動物で多くの量を投与したあとの副作用が確認されます。

人間を対象とした試験では、第一(I)相試験として、健康な成人のボランティア(通常は若い男性)を対象として、徐々に使用量を増やしていきます。

次に、第一相試験で安全性が確認された範囲内で、軽度の症状がある少数の人を対象にして、安全性、有効性、用法(いつ飲むか)・用量(どれだけ飲むか)を確認するために第二相試験が実施されます。

その結果をもとにして、次には治療現場で多くの患者(数百人から場合によっては数万人)を対象にして、長期間(半年以上)、二重盲検試験が第三相試験として実施されます。二重盲検試験は治験薬と、治験薬と外見が同じで有効成分が含まれていないプラセボ(偽薬)を用いるもので、使用する医師も治験薬かプラセボかわからないようにされています。

プラセボであっても思い込みによって有効性が現れることがあり、治験薬の有効性からプラセボの有効性として現れた状態を差し引いた結果が、その医薬品の有効性とされます。
これらの試験成績がまとめられて、医薬品に製造販売承認申請が行われ、医薬品医療機器総合機構の審査を受けて、承認されると医薬品として製造販売することが許可されます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)