健康あない人45 販売後の医薬品の安全性確認

安全性に関する医薬品の試験は、製造販売することが許可されただけで終わるわけではありません。最終的な安全確認は市販後調査によって、副作用データが蓄積された結果で実施されます。市販後調査の結果が出るまでは、“仮免許”の状態で使われ続けていることになります。

それだけに、安全性が明らかになった“本免許” までは慎重に使うようにしてほしいところですが、新薬は有効性が高い(高いことが期待される)ため、これまでの医薬品では効きにくかった場合に使われることが多くなっています。そのことが新薬における副作用を強める結果にもなっています。

もう一つの問題は、医薬品の組み合わせです。

医薬品の安全性は、製造販売された段階では、通常の使用例にみられるような複数の医薬品が組み合わされた結果が明らかにされているわけではありません。医薬品は、それぞれの患者によって使用されるものが異なり、試験では想定されなかった組み合わせが行われることもあります。

医薬品は、それぞれの症状に合わせて処方されることから、多くの疾患を抱えている患者の場合には、より多くの医薬品が組み合わせて使われることになります。それを確認するのが市販後調査で、通常は6か月間の調査と情報収集が行われます。この調査はPMS(Post Marketing Surveillance)と呼ばれています。

医薬品製造会社が全国の医療機関に対して行う使用実態調査で、これに従うと6か月間以上の使用経験があれば、販売前の知見では得られなかった新たな作用・副作用に関する情報収集ができて、安全性が確認されていることになります。

しかし、市販後調査は1種類ではないので、さらに調査が必要になります。市販直後に行われるのは市販直後調査で、他のものは特別調査、使用成績調査です。

特別調査は、治験では対象から外される患者層(小児、高齢者、肝機能や腎機能に疾患を抱えた人、医薬品の長期服用者など)に対する使用実態調査です。

使用成績調査は、販売後に3年間をかけて行う医薬品の使用実態調査で、副作用の発現状況や品質・有効性の調査が目的となっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)