健康デザイン1 そもそも健康とは何だろうか?

健康づくりの方法というと、栄養、運動、休養が三大要素で、どれを重視するか、どれから始めるかという議論が盛んに行われていた時期があります。しかし、今では、どれも必要で、健康で改善を求めるなら同時に取り組むべきだとされるようになっています。

この連載コラムは「健康デザイン」のテーマで、健康づくりを無理なく無駄なく進めるために何をすべきかということを伝えていきます。初めは健康の考え方についての総論的なコラムです。

健康という概念を説明するのは難しいところがあって、健康そのものを売っているわけでもなくて、買うわけにもいきません。健康ということで思い浮かべることが多い医師のところに行って、「健康にしてください」と希望しても、健康になる方法を施してくれるわけではありません。

私(小林正人)は東京にいたときには、公益財団法人日本健康スポーツ連盟の理事を務めていましたが、スポーツも同じようなところがあり、「スポーツを売ってください」と言ったら、「どんなスポーツか」「どのような用具か」と聞かれるのがほとんどです。

健康とスポーツと曖昧になりがちなものを結びつけた活動に携わっていたので、その定義については常に自問自答していました。

何を持って健康というのか、ということですが、健康についてはWHO(世界保健機関)が次のように定義しています。

「健康とは、肉体的、精神的および社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」

社会的な健康というのはわかりにくかと思いますが、①自分の感情に気づいて表現できること(情緒的健康)、②状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること(知的健康)、③他人と社会と建設的でよい関係を築けること(社会的健康)を合わせたものを意味しています。

社会的な健康のためには、心身の健康状態が保たれていることが基本であり、すべての要素が総合的に充実していないことには、健康であると胸を張って生活することも仕事をすることもできないということになります。

総合的な健康づくりとしては25年以上も前から国の方針に基づいて続けられていることがあり、それはTHP運動といいます。このTHP運動を例にしながら、健康になるための、健康であり続けるための健康デザインについて考えていくきっかけに、このコラムが役立つことを願って書き始めました。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕