日本は世界一の長寿国(男性81.47歳、女性87.57歳)であり、平均寿命が年々延びる中にあって、少子化も急速に進み、国民の平均年齢は48.6歳と、これも世界一の水準にあります。日本の女性は半分が50歳以上という状況です。
この「女性の半分が50歳以上」という状況だけでも大きな問題とされています。日本人の健康度を表す指標は数々ありますが、その中でも注目度が高まっているのは生涯医療費です。これは一生涯に個人が使う医療費を厚生労働省が示したもので、その額は男女平均で2700万円にもなっています。
男性は2600万円、女性は2800万円で、女性のほうが多いのは男性に比べて長生きで、その分だけ多くの医療費が必要になっているからです。70歳が分岐点で、その前後で50%ほどの医療費がかかっています。70年間でかかった医療費と同じ金額が、男性では11年の間に、女性では17年の間に使われていることになります。
生涯医療費のうち個人が支払うのは医療保険の条件によって異なり、10〜30%です。残りは国、自治体、健康保険組合が分担しています。長生きすることは、それだけ多くの医療費がかかり、自治体の医療費負担も増えるので、これが自治体の財政を厳しくする要因ともなっています。
年齢別の医療費を見ると、50歳から大きく増えていきます。医療費のピークは75歳から80歳ですが、50歳から医療費を抑えるように健康づくりに取り組んでいれば、個人や家族としても医療費が抑えられ、自治体の財政にも貢献できることになるわけです。
しかし、50歳以降の女性は家庭における介護の担い手でもあり、家庭の仕事との両立、さらには収入確保のための仕事なども加わり、多くの負担がかかっている年代です。
女性の平均年齢が50歳に達した日本の今後の姿を考えると、いかに健康の維持・増進が重要であるかがわかります。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕