健康デザインを栄養摂取についてだけで実施するなら、栄養摂取の状態を身体の状況を把握して、不足しているものが補えるように食べ物や飲み物を変え、場合によってはサプリメント(ビタミン、ミネラルなど)の摂取を指導すればよいので、それほど困難なことではありません。
“困難”というのは、指導する側にとっても、指導を受けて実践する人にとっても、ということを指していて、実態を把握すれば栄養指導の専門家であれば何が欠けているか、何を摂ればよいのかがわかります。そのことを教えてもらえれば、あまり疑問を抱かずに従うことで栄養バランスが取れるようになるとの期待が、それほど裏切られることはありません。
しかし、栄養摂取は、性別や年齢、体格といった要素だけで決まるわけではありません。厚生労働省や多くの研究機関から示されている必要な栄養摂取量は、あくまでも平均値です。身体活動が多ければエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)の量も違い、これをエネルギー代謝させるために必要なビタミン、ミネラルなどの摂取量も変わってきます。
それだけでなく、健康状態(疾病や病弱、歯や口腔の状態、体質など)、希望する健康度の違いなどによっても摂取すべき種類と分量が違ってきます。
健康づくりをデザインするためには、運動と休養(リラクゼーション、入浴、睡眠など)も重要な要素です。これも適したものを選択するだけでなく、それが継続しやすいものであるのかもデザインのパーツを選択するための重要なポイントとなります。
そこまでの組み合わせを考えると、初めに割り出した栄養摂取についても、それでよかったのか再考をして、見直さなければならなくなります。
健康を個人の状態に合わせてデザインして、全体的なバランスを整えるためには、それぞれの分野の専門家の研究成果が必要であり、指導する側もバランスが取れた判断が下せるような組織的なバランスを整えることも必要になってきます。
そして、指導側のバランスが正しく取れたとしても、研究成果が変化するのは医薬や健康分野では普通に起こり得ることで、これを解決するための最新情報の収集と分析も健康デザインの提供には欠かせない活動となってきます。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕