Medical Diet187 内臓脂肪が悪玉扱いされる理由

内臓脂肪は、内臓の周りの脂肪細胞に蓄積されている脂肪(中性脂肪)を指しています。内臓脂肪は重要なエネルギー源を蓄積する場所だけに、本来なら蓄積されるのは喜ぶべきことであるはずです。

それが健康の維持に悪いものであるような見られ方をするのは、多く蓄積されすぎている人が多いからです。

内臓脂肪が健康の維持によくないとされているのに対して、皮下脂肪は多く蓄積されていても見た目は悪いということを除けば悪玉扱いをされることはありません。その違いは分解される度合いが関係しています。

食事や運動の結果として体脂肪が減っていくときには、先に内臓脂肪が減り、ある程度の量が減ってから皮下脂肪が減っていきます。皮下脂肪は減りにくいのに対して、内臓脂肪は減りやすく、多めに蓄積されている人は日常的に分解される量も多くなっています。

内臓脂肪の脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪は、運動をしてアドレナリンが分泌されたり、血液中の脂肪が減ってくると分解されて脂肪酸となり、血液中に放出されます。この脂肪酸は筋肉などの多くの細胞に取り込まれてエネルギー化されますが、放出される脂肪酸が多くなると肝臓で中性脂肪に合成されます。

そのため、血液中の中性脂肪が増えていきます。この量が過剰になると高中性脂肪血症となります。

内臓脂肪が多く蓄積されるとメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と判定されますが、内臓脂肪に中性脂肪が多く蓄積されると悪玉ホルモンのアディポサイトカインが多く分泌されて、血圧、血糖値が上昇していきます。中性脂肪値、血圧、血糖値が高くなるのは血管にダメージがかかった状態です。

血管にダメージがかかっているのに、これを走って改善しようとする人がいます。血管にダメージを受けている人の血流が盛んになってしまったら、さらにダメージが高まります。安全に内臓脂肪を減らすためには、有酸素運動のウォーキングが適しているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)