健康寿命延伸のための提言34 提言のエビデンス3食事12

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第12回)を紹介します。
前回に引き続き、アメリカのNIH(National Institutes of Health:国立衛生研究所)が提唱しているDASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)の成果について紹介します。
DASH食は野菜、果物、低脂肪乳製品をよく摂り、鶏肉以外の肉を減らし、魚を増やす、種実類や豆類も多く摂り、全粒穀類・粉を使用することを基本とした食事で、高血圧、循環器病の予防だけでなく、糖尿病、肥満などの代謝性疾患予防にも効果的と報告されています。一方、地中海食は、独自のメニューがあるわけではなく、オリーブオイルを使った料理で、野菜、果物、魚、豆類、種実類、全粒穀類が豊富で、赤肉と加工肉を控えた複合食となっています。地中海食を摂取する介入研究で、循環器病発症リスクが低下したという報告があります。
6研究によるメタ解析によると、DASH食をよく摂取する群は、そうでない群と比べて、循環器病リスクが0.8倍、虚血性心疾患では0.8倍、脳卒中では0.8倍、心不全では0.7倍であったと報告されています。
さらに最近の12コホート研究のメタ解析から、DASH食をよく摂取する群は、そうでない群と比べて、脳卒中発症リスクが0.9倍と低く、欧米人よりもアジア人で低下がより顕著であることが確認されています。また、別のメタ解析から、地中海食を順守するにとによって、地中海と非地中海の両方の地域集団において、虚血性脳卒中と出血性脳卒中の両方の脳卒中のリスクが低下することが確認されています。