食の安全というと、食材のほうに注目が集まるのは当然のことですが、料理を乗せて(入れて)提供する食器の安全性のほうは二の次になりがちです。食器の安全には食器そのものの安全性(プラスチック食器など)と洗剤が残留することによる安全性があげられます。
家庭用の食器洗浄は家庭用の中性洗剤で洗うのがほとんどなので、水洗いで洗剤を落とせれば危険なものが残る心配はありません。それと比べると業務用の洗浄剤はアルカリ性で、中には強アルカリ性のものもあり、完全に落とさないと有害な洗浄剤も料理と一緒に食べてしまうことになります。
業務用の洗浄に詳しくなったのは、東京の大学生時代のアルバイト先でもあり、社会人初めの仕事先でもあった日本厨房工業会の月刊『厨房』の編集をしていたからですが、大量に食器を洗うということは子どものときから経験してきました。
4歳のときに親元を離れて新潟県の母の実家のお寺で小学校の入学前まで暮らしていました。お寺は飲食を伴う行事も多く、調理器具から食器まで大量に洗うものがありました。子どもの仕事というと掃除と調理器具や食器・什器を洗うことくらいで、家庭用洗剤ではあったものの短時間に多くの洗い物をすることの大変さを知り、効率よく洗うことを学びました。
大学生のときには高校時代の知人の親戚が東京で割烹と料亭をやっていたことから、食器の洗浄から後片付けがアルバイトで、いつしか食器の管理(汚れや傷みの確認)までやらせてもらいました。割烹のほうは家庭用洗剤で、料亭のほうは業務用食器洗浄器を使っていたので業務用洗浄剤を使い、その違いと効果的な洗浄を洗剤業者から学ばせてもらいました。
日本厨房工業会の編集をするようになってから、食器洗浄に関心があったことから、食器洗浄機と洗浄剤について学ぶ機会が増えました。病院給食の団体の仕事をするようになってからも洗浄の知識を活かして、現場の洗浄の調査や指導までさせてもらいました。
病院をはじめとした大量調理の現場では洗浄もしっかりとされていますが、小規模な食堂やレストランなどは業務用の世界であるのに、洗浄の知識は家庭レベルで、危険性がある洗浄剤を危険な状態で使っているところを多く目にしています。それもあって、できるだけ外食は避けるようになりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕