肥満は、慢性疾患と死亡のリスク上昇と関連することが知られていますが、アジア諸国では体重減少が死亡リスク上昇と関連していることが報告されています。しかし、長期にわたる体重減少が超過死亡リスクを説明するのかは明らかになっていませんでした。
そこで、大規模コホート調査として、成人期(20歳以降)のBMIの変化によって特定されたグループと死亡リスクとの関連について調べられました。
1990年と1993年に全国の11保健所管内に住んでいた40〜69歳のうち研究開始から5年ごとに3回のアンケート調査に回答した約6.5万人を2016年まで追跡した調査結果に基づいて、肥満指数と死亡リスクとの関連を調べた結果が、国立がん研究センター(がん対策研究所)から発表されました。
各調査時点と20歳時の体重についてのアンケートへの回答からBMIが算出されました。BMIの変化からグループ分けを行う際には、普通体重を20〜25kgと定義して、①継続的なやせ(グループ1)、②普通体重の範囲での体重増加(グループ2)、③普通体重の範囲での体重減少(グループ3)、④普通体重からか体重(グループ4)、⑤過体重から普通体重(グループ5)、⑥普通体重から肥満(グループ6)に分けられました。
解析では、性別、喫煙状況、飲酒状況、身体活動量、糖尿病の既往歴、高血圧の既往歴の影響を統計学的に調整して、これらが結果に与える影響はできるだけ取り除かれました。
グループ2を基準とした場合、グループ4を除く各グループの全死亡リスクが統計学的に有意に高いことがわかりました。
この結果から、体重が減少したグループ3、グループ5、継続的なやせ型のグループ1においても高い死亡リスクと関連していて、体重が過剰に増えることだけが高い死亡リスクと関連しているわけではないということがわかりました。
また、死因別にみても、おおよそ同様の結果でしたが、特に呼吸器疾患死亡は継続的なやせ型のグループ1でリスクが高い結果でした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕