健康情報21 出生期体重と成人期後期の生活習慣病

低出生体重は、生活習慣病のリスク因子であり、特に心血管疾患、高血圧、糖尿病のリスク因子になることがヨーロッパを中心とした疫学調査で報告されていますが、日本人の大規模集団では調査されずにいました。

日本では1980年から2000年にかけて低出生体重児の割合が約2倍に増加したため、1980年以降に出生した世代が成人期後半を迎えるにあたって、生活習慣病の発症が増加することが懸念されています。

そこで2011年から2016年に次世代多目的コホート調査として、約11万人の40〜74歳の方々を対象に、出生体重と心血管疾患を含む5つの生活習慣病の既往歴との関連が調べられ、この結果が国立がん研究センター(がん対策研究所)から発表されました。

ベースライン調査で実施したアンケートから把握した出生体重によって、対象者を5つのグループ(1.5kg未満、1.5〜2.4kg、2.5〜2.9kg、3.0〜3.9kg、4.0kg以上)に分けられました。

同じアンケートから、心血管疾患、高血圧、糖尿病、脂質異常症、痛風の5つの生活習慣病の既往歴を把握して、3.0〜3.9kgのグループを基準として、調整有病率比が算出されました。

解析の際には、年齢、出生年、性別、教育歴、循環器疾患の家族歴、10歳時点の受動喫煙、ベースライン調査時の身長、年長の兄弟姉妹の有無について統計学的に調整が行われました。

解析の結果、出生体重が低いことは心血管疾患、高血圧、糖尿病の既往歴と有意な関連が認められました。出生体重が低いことと脂質異常症の既往歴と間には弱い関連があり、痛風との間には関連は認められませんでした。

出生体重3.0〜3.9kgを基準とすると。心血管疾患が1.5〜2.4kgでは1.25倍、1.5kg未満では1.76倍と調整有病率比が高いことが示されました。心血管疾患のリスク因子である高血圧、糖尿病についても、出生体重が少ないと調整有病率比が高い結果となりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕