不適切な食事摂取は、世界で1年あたり1100万人の死亡(総数の22%)の原因であると推定されています。このため、食事の質に関連する要因の解明は、世界的な最優先課題の一つとなっています。
このような背景から、フードリテラシーという概念に注目が集まってきました。フードリテラシーの定義は数多くありますが、「食品に関するニーズを満たし、摂取量を決定するに際して、計画・管理・選択・準備・摂取するために必要な相互に関連した知識・技術・行動の集まり」が最も多く引用されています。
フードリテラシーと食事の質の関連についての研究は、欧米諸国を中心に世界各地で行われてきましたが、いずれの研究もフードリテラシー、食事の質あるいは、その両者の評価が限定的であり、全貌は明らかにはされていませんでした。
東京大学大学院医学系研究科の研究グループは、一般の人々を対象としたオンライン質問票調査を実施して、フードリテラシーと食事の質との関連を包括的かつ網羅的に検討しました。
20〜79歳の日本人5998人を対象とした調査で、適切に食品を摂取するために必要とされる総合的な資質の指標であるフードリテラシーが高い人ほど、1日全体の食事の質、朝食の質、昼食の質、夕食の質が高いことを明らかにしました。
フードリテラシーの評価は、オランダで開発された29項目の妥当性が検証された質問票の英語版を日本語に正確に翻訳したものが用いられました。合計点は1点から5点の間となり、スコアが高いほどフードリテラシーが高いことが表されます。
参加者の平均年齢は46.8歳です。フードリテラシースコアの平均値は3.18、食事の質スコアの平均値は1日全体では50.4、朝食では41.8、昼食では43.2、夕食では52.6でした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕