健康情報56 脂質濃度と食習慣との相関

血液中の脂質濃度は毎日の食事から直接的な影響を受けていて、健康状態や疾患の発症に深く関係しています。しかし、アジア人集団で数千人の規模で両者の関連を解析した例は、これまでありませんでした。

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は、1万人近いコホート調査参加者に対して血漿中脂質濃度のメタボローム解析を実施しています。ToMMo生命情報システム科学分野の研究グループは、このうち約4000人分について、食習慣と血漿中の脂質能動を解析し、多くの有意な相関を見出しました。

これらの相関には、世界のさまざまな集団で検出されてきたバイオマーカーが含まれており、特に乳製品摂取と奇数脂肪酸の関連については、アジア地域で初めて検出されました。

さらに、この乳製品と奇数脂肪酸の相関が、スフィンゴ脂質(シグナル伝達など複数の機能を担っている生体膜を構成する主要な脂質の一つ)を介したものである可能性が示唆されました。これらに加えて、菓子類摂取がオメガ3脂肪酸を減らし、オメガ6脂肪酸を増加させる可能性があることが示されました。

食習慣情報として、食物摂取頻度調査票で調査した138の食品・飲料に関するアンケート情報をもとに、15の食品群の1日あたりの平均摂取量を計算しました。血漿中脂質濃度は439種の脂肪種について測定しました。これらの値から、年齢、性別、BMIなどの影響を統計モデルを用いて排除し、1日あたりの食品群摂取量と脂質濃度との間の解析を実施しました。

解析は50歳以下と、50歳よりも高齢の2つの年齢グループについて実施し、どちらの年齢群でも有意な相関のうち、他の食品群の影響によって見出されている偽相関の可能性のある相関を排除すると、83個の食品群摂取量と血漿中脂質濃度の相関が見出されました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕