健康情報60 主観的な幸福度と緑内障の関連について

国立がん研究センター次世代多目的コホート研究は、生活習慣・生活環境と、がんなどの生活習慣が関係する疾病との関係を明らかにして、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究です。

その一つとして、平成23年から28年までに研究対象地域の40〜74歳の男女約9万2000人を対象に、アンケートの回答結果に基づいて得られた主観的幸福度と緑内障の関係について発表されました。

緑内障は視神経が障害され、視野(見える範囲)が狭くなったり、視力が落ちたりする病気で、日本の中途失明原因の第1位を占めています。緑内障は死や欠損や視力低下によって歩行の困難、転倒や骨折のリスクの増加、社会的孤立につながることなどから、抑うつ感や不安障害といった心理的な側面もダメージを受けることが報告されています。

これまで各国の疫学研究から、うつ病や不安と緑内障の関連についての報告は複数ありましたが、その結果は一致しておらず、日本人集団においてはよくわかっていませんでした。また、地域住民を対象とした大規模な疫学研究からの報告はありませんでした。

研究では、研究開始時のアンケート調査において、幸福度と緑内障に関する回答が得られた9万2397人が対象とされました。

幸福度については、アンケートの「ご自分がどれくらい幸せだと感じていますか」という質問に対して、「大変幸せ」もしくは「幸せ」を選んだ方が幸福と感じている、「どちらとも言えない」もしくは「幸せでない」を選んだ方が幸福と感じていないとされました。

緑内障がある人は男性が635人(1.9%)、女性が1098人(2.1%)で、緑内障がない人と比較して、緑内障の人は幸福と感じていない割合が男性で26%、女性で5%高いという結果になりました。

年齢層別の解析では、40〜59歳の男性で緑内障がある人は、そうでない同年代の男性と比較して、幸福と感じていない割合が40%高いことがわかりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕