健康食品の法規制1 複雑すぎる規制の法律と通知・通達

健康食品は、通常の一般の食品とは違って、販売に関して、さまざまな規制がかけられています。それは健康食品には法的な定義がないからです。医薬品以外の経口的に摂取される(口から摂る)もので、健康の維持や増進に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂る食品全般を指しています。

定義がないのは健康食品に関する単独の法律がないからで、複数の法律を組み合わせて、さまざまな規制が行われています。

単独の法律があれば、その中で規制されていることだけを守ればよいことになるのですが、複数の法律によって規制されていることで、どの法律を優先させればよいのか、どこまで厳しく接すればよいかが非常にわかりにくくなっています。そのために販売事業者であっても、理解が不十分であり、また誤って理解したために違反の意識がないままに違反を犯しているという例も少なくありません。

また、規制する法律を所管する官庁が異なることがあることも、守るべき規制を複雑にしているところがあります。

健康食品を規制する法律は、食品表示法、食品衛生法、健康増進法、医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)、特定商取引法があります。

これらの法律に基づいた規制の通知・通達も、以下のように数多くあります。

無承認無許可医薬品監視指導マニュアル、食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)、食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項、特定商取引に関する法律第6上の2等の運用指針(不実勧誘・誇大広告等の規制に関する指針)、健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について、機能性表示食品の届出等に関するガイドライン、機能性表示食品に対する食品表示等関連法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針、食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン、食品表示基準Q&A。

これだけの法律と規制の通知・通達があり、法関連文書のために理解しにくく、これを熟知することは非常に難しいことです。そのために誤った理解をして、規制の対象となって製造・販売ができなくなる事業者も少なくないのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕