健康食品の表示の規制の講習は、規制する側の行政機関によっても実施されています。大都市部に限られてはいるのですが、行政側が作成した資料に基づいて学ぶので、その信頼度は高く、これを受講することには安心感があります。
しかし、取り締まり側が実施する講習をクリアしたことで、もう絶対に安心というわけにはいきません。よく言われるのが、「取り締まりする側が、本当のことを言うわけがない」ということで、“手口”を明らかにすることは考えにくいということです。
確かに、行政機関による法律講習は、規制の根本となる法規の解説をして、具体的な“べからず集”を紹介しています。なぜ、表示してはいけないのか、その理由を説明して、どこに注意しなければいけないのか、ということを講習で話す場合もあります。
これは法律に基づいた販売を実施するには役立つことであるのは間違いないことですが、何を言ってはいけない、書いてはいけないということを中心に学んでしまうと、規制する通知が改定されたときに対応できなくなるということがあります。
医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づいた「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」が表示の講習の基本となっていますが、この内容を学んだだけでは実際の対応はできません。
健康食品を規制する法律は他にも食品表示法、健康増進法、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)、特定商取引法があります。これらの法律に基づいた規制の通知・通達も、①食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)、②食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項、③特定商取引に関する法律第6上の2等の運用指針(不実勧誘・誇大広告等の規制に関する指針)、④健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について、⑤機能性表示食品の届出等に関するガイドライン、⑥機能性表示食品に対する食品表示等関連法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針があげられます。
これらの通知は行政側のものであって、販売事業者に向けたものではないので、文面がわかりにくく、ときには勘違いをして覚えてしまうことにもなります。
そのときには対応ができたとしても、通知・通達は改定が繰り返されています。法律と規制の内容を充分に把握しておかないと変化に対応できないことになるので、面倒であっても通知・通達を使いながら学ぶ機会を設けているのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕