健康食品の法規制37 好転反応の扱い

人間の身体は、悪い状態から良い状態に変化するときに、一時的に悪い状態が強く現れることがあります。例えば、皮膚にアレルギー反応を起こす成分を摂っていた人が、それを避けたこと、アレルギーを改善させる成分を摂ったことによって、皮膚のアレルギーが強く現れるといったことです。

これはアレルギーを起こす成分を体内から排出する機能が高まり、それによって排出された成分が皮膚を荒らすようなことがあるからで、このように一時的に悪化するようなことが起こることは好転反応と呼ばれています。

瞑眩(めんげん)反応とも呼ばれることがありますが、トラブルがあった部位だけでなくて、めまいや鼻血、のぼせなどの普段とは違った身体の反応が起こることもあります。

そのことから、好転反応は身体が良くなる兆候で、その反応が起こったことを続けることがすすめられます。これは東洋医学(漢方医学)でよくあることですが、健康食品の有効性を説明するときにも使われます。

それは東洋医学としては正しいことであったとしても、健康食品について説明するときや有効性の表示では禁止されています。その根拠となっていることは医薬品医療機器法に基づく「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」に記載されています。

好転反応を広告などに表示したり、有効性として伝えることは、医薬品医療機器法に違反する行為となり、健康食品であっても偽薬を取り締まるのと同様に、厳しく処分されることになります。好転反応を表示した場合には、「これは医薬品ですよ」と言って販売しているのと同じにみなされるからです。

漢方薬では、吸収性を高めるために、舌下錠という摂り方も行われます。これは口腔粘膜から吸収させる方法で、舌の下に錠剤を入れて吸収させるようにします。飲むと胃で分解されて小腸から吸収され、血液中に入ってから肝臓で解毒され、その後に血液中に入って必要なところに運ばれます。そのために有効性が低下することになりますが、粘膜から血管に直接吸収させることで効き目を強めようとする行為です。

これについても「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」で医薬品にだけ許可された摂取法であるとして、健康食品では表示することが禁止されているのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕