健康食品 敵か味方か37 体内合成される成分の安全性

食品に含まれる栄養素の摂取量は、これ以上を摂取すると危険性があるという上限値が定められています。以前は通常の食品に含まれている成分であれば、多く摂っても問題はないとされていたのですが、健康食品の中でも機能性が優れた食品が開発されるようになり、過剰に摂る危険性が表れるようになったことから、食品での摂取にも上限値が定められるようになりました。

脂溶性のビタミンは、体内に蓄積されている脂肪とともに保持されることもあって、体内で濃くなることがあるため、上限値は厳しく制限されています。脂溶性のビタミンはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが該当します。

これに対して水溶性ビタミンは、分解されて体外に排出されやすいので、どれだけ多くの量を摂っても1日ほどで排出されます。そのために安全性は高いと考えられている時期もあったのですが、健康食品や食事で不足する栄養素を補うサプリメントでは一気に多くの量を摂ることができることから、水溶性ビタミンについても上限値が示されるようになりました。

一般的に摂取されることが多いビタミンCは水溶性で、1日に100mgの摂取が推奨されています。過剰症が心配される上限値は1000mgなので、食品での摂取では問題はなくても、サプリメントではリスクもあることになります。

これに対して、水溶性の成分であって、過剰症がない成分とされているものがあります。それは代謝促進成分のL‐カルニチンで、体内では必須アミノ酸のリシンとメチオニンを材料にして肝臓で合成されています。

体内で合成されている成分と同じL‐カルニチンは食品の成分として摂ることが厚生労働省によって許可されています。これが許可されたのは2002年のことなので、長らく使われて、安全性についても確認されています。

サプリメントとして多くの量を摂りすぎても水溶性の性質があるので排出されます。体内での合成のピークは20歳代前半で、それ以降は合成量は減る一方となります。そのため、ほとんどの人は不足しているため、過剰になることはありません。

L‐カルニチンは細胞のミトコンドリアに脂肪酸を取り込むために必要な成分であるので、不足すると脂肪酸のエネルギー化が低下して、取り込まれなかった脂肪酸は余分なものとして中性脂肪に合成されて脂肪細胞に蓄積されることになります。

脂肪のエネルギー代謝が低下している人は、過剰症を考えずに摂ってよいことになるわけですが、余計に摂っても排出されることになります。有効性が確保され、過剰症がないL‐カルニチンの摂取量としては、成人の場合には1日に1000mgの摂取量だということが確認されています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕