健康食品 敵か味方か8 日米の消費者保護の考えの違い

日本の健康食品は、法規制から、どんな人が、どの成分を、どれだけ摂ればよいか、いつ摂ればよいかを表示することはできません。この知りたいことを知ることができるのは医薬品だけで、消費者保護の一環とされています。

これに対してアメリカで健康食品に該当するのはダイエタリー・サプリメント(Dietary Supplement)は、どのような人が使うものなのかが明らかにされています。アメリカにはDSHEA法(栄養補助食品健康教育法:Dietary Supplement Health and Education Act)があり、目的と異なるものを購入して使うようなことがあったら消費者のためにならないということで、消費者保護の観点で有効や対象の表示が義務づけられています。

日本の表示の制度では、健康食品の商品に表示することだけではなく、広告やホームページなどにも記載・表示することができません。これは医薬品と健康食品を混同して、本来なら医薬品を使用すべき人が、誤って健康食品を病気の改善に使うのを防ぐことを目的としています。そのため、医薬品と間違える原因となる有効性、摂取の用法用量、医薬品と間違われやすい形状は健康食品では許可されていないのです。

健康食品は“食品”と名づけられていることからもわかるように、あくまで食品に分類されます。食品で病気の治療を行う人はいないという前提はあるものの、広告などの表示によって治療効果を匂わせるようなことがあり、それを防ぐために法律によって分類をして、表示できる内容に違いを設けています。

機能性を表示することは、前に紹介した保健機能食品の制度に基づく特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品にだけ許可されています。その表示の内容も保健機能食品の種類によって違っていますが、「血糖値を低下させる機能」というレベルで、「糖尿病の改善」といったような医薬品的な効能効果を表示することは許可されていません。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕