偽る脳力14 信頼度の高さにすがる心理

「自分が言っているわけじゃない」と著名人の言葉を引き合いに出したり、書籍やテレビ番組で紹介されたことを取り上げる方は少なくありません。すでに社会的に評価されたことに従うのは簡単なことで、テレビ番組にも信頼を寄せている結果といえます。

書籍に書かれていることは正しい、信頼に値するという感覚があり、1冊でも著者として書いたものがあれば社会的な信用が高まるという感覚は書籍を読む(見る)側にも、書く側にもあります。以前であれば書籍として書店に並ぶためには、出版社の眼鏡にかなって、出版社と書店をつなぐ出版取次店に売れると見込んでもらう必要がありました。

ところが、今の時代は電子書籍もあり、書籍であってもタイアップによって一定の部数を買い取れば発行してくれるようになり、書籍の神通力は以前とは大きく異なっています。複数の出版社で書籍や雑誌を作ってきた経験から、いかにハードルが下がってきたか、書籍に書かれていることのレベルが下がっているかをリアルに感じています。それにも関わらず、以前の書籍への信頼度は今の時代にも残っています。

テレビ番組の信頼度は、ネット情報に比べれば高いとはいっても、これも以前からテレビ番組の企画に関わってきた身とすれば、大きく低下しているだけに、それを信頼の裏付けとして使われることには抵抗感があります。そのようなことを話すと、「前からレベルが低かったではないか」と指摘されることもあります。

テレビ草創期から関わってきた大手広告代理店の元局長と長く付き合ってきて、全国キー局の番組をよくするためのサポートをしてきました。バラエティ番組であっても裏付け(医学で言えばエビデンス)が求められ、無理を承知で医学、薬学、栄養学、運動科学などの専門家に頭を下げて、それこそ帳尻合わせの「偽る脳力」の連続で折り合いをつけてきました。

過去のバラエティ番組のレベルと、今の報道番組の中で取り上げられる話題のレベルを比べると、過去のほうに軍配を上げる場面が圧倒的に多くなっています。このコメントは、この専門家ではないだろうと感じることも多く、医師なら誰でもよいのか、専門分野以外に語らせてよいのか、宣伝のために出る医師を使ってよいのかと感じることは、ローカル局だけでなく、全国キー局のテレビ番組でもよくあることです。

レベルの低い内容でも仕方がないという判断は、視聴者のレベルを低く見ている気持ちの表れでもあります。そんな内容の番組を作るから、それを商売に利用しようとする人に使われてしまうわけで、それは書籍やテレビ番組だけでなく、専門家による講演などでも感じていることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕