嘘を言っているわけではなくても、実際以上に大きく見せるように話をする人がいます。自分が優れていることを示したいための誇張が多くなり、一般には「話を盛る」と表現されている行動です。
就職の面接官は、学生の盛った話の実際のところを見抜くテクニックを磨くのが大事な能力(スキル)とされています。これが充分でないとスキルのある学生を採用することができず、ハズレを引くことにもなるからです。
話の根本が真実であれば、それをどのように感じるかは個人差があることで、確かに嘘を言っていることにはならないかもしれません。話を盛る人は自分の価値を他人に認められることで高めたいという気持ちがあり、それが嘘にもなりかねないと感じていながらも、真実で勝負ができないところがあります。いわゆる“自己肯定感が低い”状態です。
このような例をあげるのは、あまりよいことではないのかもしれませんが、「偽る脳力」を考えるきっかけになったことではあるので、紹介させてもらいました。
そのキーワードは「社会貢献活動の発案者」で、パラリンピックという名称を冠した団体にまつわる話です。
身体に障害があるアスリートの支援をする団体に、募金のシステムを取り入れるように発案したことを自慢する人がいました。募金を集めるためには経費が必要で、それを除いても半分は手元に残るので事業化の提案をしたとの話です。
そのような団体が実際にあり、募金を取り入れていたのも事実で、募金の一部を収益にすることができるということも実際に行われています。
そのことを私が知っていたのは、大手広告代理店を通じて、スポーツと障害者の両方の情報を期待されて、募金事務局の代表者と会い、実際に支援のための募金のプログラムに参加していたからです。
私に自慢話をしてきた人は、事務局に出入りしていたことは事実であるものの、アスリートに提供する商品を持ち込んだだけで、実際には採用されなかったこと、そのときには付き合っていなかったことを聞き出して、話を大きく盛った人だったことがわかりました。
盛った話をする対象として私を選んだのは、当時の私はスポーツと健康を研究する法人(日本健康スポーツ連盟)の理事を務めていたことと、私が活動支援をしていた健康増進団体のイベントで募金を集めたいという経歴があったからでした。
このような団体に関わっている人間なら、簡単に調べられるようなことだけに、話を持っていることは、すぐにバレてしまします。それだけに話を盛ることなしに伝えてくれればよかったのに、と思ったものです。
後になってパラリンピック支援の団体の役員に聞いていたところ、その話を盛った人は過去にトラブルを起こして出入り禁止状態であることがわかりました。そんな状態を打開するために、大きく話を盛るしかなかったということのようでした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕