日本人は体内での熱産生が少ないために血液が温まりにくく、温かな血液が次々に送り込まれてこないと体温が低くなります。血液の温度が低いと内臓も腸内の温度も温まりにくく、これが日本人の体質的な弱さの原因となっています。体熱を作り出しているのは細胞内のミトコンドリアで、全身の細胞で発生したエネルギー物質のうち50%ほどが体熱として使われています。
身体を温めるには運動や身体を温める食品の摂取、温かなものを身体に当てるといった方法がありますが、楽に、そして効果的に温めることができるのは入浴です。入浴の効果は、まずは浮力と水圧が生み出しています。お湯の中に肩まで入ると浮力が働きます。湯面から首から上を出した状態では浮力によって体重は10分の1ほどになります。そのために血管が緩んで、血流がよくなります。また、血管が緩んだ状態のときに水圧がかかることによって圧力が高まり、さらに血流がよくなります。
ここまでは、お湯でなく、水であっても同じことです。入浴はお湯による温熱効果もあって身体が温まり、温かな血液の血流がよくなることによって体温が高まっていきます。入浴の温熱効果は、3つの効果が組み合わされたもので、お湯の温度の影響だけではなかったのです。
お湯の温度が高まるほど身体が温まるイメージがあるかもしれませんが、熱すぎると急激に熱を体内に入れないために皮膚が引き締まるようになって、かえって身体の中まで、いわゆる“身体の芯”まで温まらなくなってしまいます。それに対して適度な温度、実際の温度では38〜40℃では徐々に熱が入るようになり、自律神経の副交感神経の働きが盛んになって血管も緩み、全身が温まりやすくなります。
副交感神経が充分に働くためには、ぬるめのお湯に10分ほどは入るようにします。