水分を補給するには、ただ水を多く飲めばいいというわけではありません。水は性質などによって吸収されやすいものと、吸収されにくいものとがあります。
例えば、水道水は胃からはほとんど吸収されることはなく、小腸と大腸から吸収されます。これは水道水が、天然の水に比べて水の分子の結合が大きくて、胃粘膜からは吸収されにくい大きさとなっているからです。水の分子(H₂O)は、それぞれがバラバラになって存在しているのではなく、水素(H)同士が結びつくことによってクラスター(分子集団)を構成しています。天然の水は5~6個のクラスターとなっています。これが水のクラスターの最小レベルといえます。ところが、東京都の水道水は12~15個、大阪府の水道水は20個以上と大きなクラスターとなっています。
水の中に塩素や不純物が含まれていると、これがクラスターの中に入り込んで、核となって分子の結合を多くしてクラスターを大きくしていきます。クラスターの大きな水は不純物が多くなるために味が悪くなるだけでなく、細胞と細胞のスキマを通過しにくくなります。また、クラスターの大きな水は細胞への浸透性も悪くなり、細胞の代謝を低下させるものともなります。
クラスターの小さな水は天然水のほかに、電気分解で得られる生成水、イオン水などがあります。クラスターの大きさのほかにも、吸収されやすい条件をもった水があります。それは浸透圧の高い水です。
吸収されやすい水の代表といえばスポーツ飲料です。これは体内の水分に近いミネラルバランスにするために糖質やミネラルなどを加えたもので、浸透圧が高いことから胃粘膜からも素早く吸収されます。スポーツ飲料に次いで吸収されやすいのはお茶で、茶葉から溶け出た成分が浸透圧を高めています。スポーツ飲料は糖分が多く、このことが血糖値が高めの人にはすすめられない理由となっています。
それに対して、お茶は糖分なしで飲むことができます。また、お茶には利尿効果を高める成分が含まれたものもあり、水分補給をするには、お茶が適しているといえます。