発達栄養学72 代謝スイッチを入れる朝ごはん

朝食で、ご飯やパンなどの糖質を摂ると、糖質に含まれるブドウ糖の代謝が起こって体温が高まり、筋肉の温度も高まって、エネルギー代謝で大きな役割をしている筋肉の中での代謝が高まっていきます。そのため、朝食を抜くのではなく、朝食で充分な量の糖質を摂ることが重要となります。
脳のエネルギー源はブドウ糖だけで、糖質を摂ることで脳の働きを保つことができるようになりますが、脳は全身の機能をコントロールしている器官であるので、脳の働きの低下は全身の反応が低下して、全体的に細胞の代謝を下げることにもなります。
ブドウ糖を摂っても、脂肪のエネルギー代謝にはビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂の4種類のビタミンB群が必要になるので、野菜や豆類、卵、肉、魚などのおかずを少しでもよいので食べるようにします。
細胞内のミトコンドリアにはエネルギー代謝のTCA回路があり、この回路を回転させて脂肪からエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出すためにはビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂が必要になります。これらのビタミンB群は一つでも欠けると脂肪の代謝が大きく低下することになります。
ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆は植物性食品にも含まれていますが、ビタミンB₁₂は動物性食品に含まれているので、すべてを摂ることができるのは動物性食品となります。肉類(特にレバー)、魚介類、牛乳、卵には4種類のビタミンB群が含まれていますが、朝食に向いているものというと牛乳と卵ということになります。
豆類、卵、肉、魚はたんぱく源で、たんぱく質は身体を温めることが確認されています。脂肪は生活習慣病や肥満の要因と考えられているものの、それは摂りすぎの場合です。脂肪は1gあたり約9kcalのエネルギー量があり、朝食で食べたものは昼くらいまでにはエネルギーとして使われています。
代謝によって体温が高まり、これが代謝を高めるエネルギーとなってくれるので、大切なエネルギー源と考えて、これも少しの量だけという制限はあるものの、朝食で目玉焼きを作るときに油を使うか、マヨネーズやドレッシングを使うようにします。
ジュースや牛乳、ドリンク剤などはビタミン、ミネラルは補給できるものの、脳の機能を高め、身体を温めるためのブドウ糖は不足しています。そのために代謝が高まりにくくなることから、飲み物だけでなく、ご飯やパンなどの糖質もしくはバランス栄養食などの補助食品を摂るようにします。