学習障害122 尺貫法について少し知っておこう

学習障害の算数障害の理解の一環として前回は尺貫法について触れました。この尺貫法を学習障害の困難さを紹介するために使ってみたいという声があり、もう少し尺貫法について説明させてもらいます。
尺貫法は、中国で発展した計算法で、中国から文化が伝わってきた古墳時代には尺貫法で建物や道路、古墳なども作られたと伝えられています。尺貫法は律令制度によって定着していきますが、長さの1尺(しゃく)はメートル法では303mmで、その10分の1の1寸(すん)は30.3mmです。尺の上の単位は間(けん)ですが、1間は1820mmと6倍となっています(細かく計算すると少し合いませんが、そこまで正確ではないところでよしとされてきました)。
1間は6尺ということになり、1辺が1間の正方形の面積は1坪(約3.3㎡)となります。土地の単位の坪は、こういった計算で決められていたわけで、これは尺貫法が土地や建物に関する計量に認められていた1966年(昭和41年)以降も脈々と使われています。
間の上の単位は町(ちょう)で、1町は60間(360尺)となります。その上の1里(り)は36町で、一般には4kmとされていますが、正確には3927,272mにプラスして小数点以下が3927となります。
尺貫法は、すべてが十進法でなくて、十の単位が10倍を繰り返していなかったり、六十進法の単位で、6で割り切れても10で割り切れないという特徴というか、困難さがあります。
高さについては、尺は伝統的に使われています。「アルプス1万尺」という使い方が今でもされていますが、1万尺は3,030mとなります。フランスとイタリアの国境になるアルプス山脈の最高峰のモンブランの標高は4,810mです。1万尺とは合っていないのですが、日本の南アルプスの北岳は3,193m、北アルプスの奥穂高岳は3,090mです。実は「アルプス1万尺」のアルプスは日本アルプスのことで、「小槍の上でアルペン踊りを踊りましょ」の小槍は槍ヶ岳の山頂(標高3,180m)を指しています。
なぜ、こんな蘊蓄(うんちく)のような話をするのかというと、学習障害の子どもは関心を示したことは頑張って学ぼうとするところがあり、少しズレたとしても印象に残る話をすることが大切だということを伝えたくて、あえて紹介させてもらいました。