NHKの百寿者を取り上げた番組で、微小循環が紹介されてから、メディアからの問い合わせが続きました。というのは、微小循環について以前から情報発信をしていたからです。
微小循環は毛細血管と、そこにつながる細動脈、細静脈の血液の流れのことを指します。この微小循環がよければ全身の細胞の代謝が高まり、老廃物を素早く排出できることから細胞の活動を高め、細胞のミトコンドリアで産生されるエネルギーも増やすことができるようになる、免疫を高めるということで、健康維持・増進の基本とされています。
百寿者は体内の慢性炎症が少なく、微小循環がよいと慢性炎症を抑えられて免疫も高まるということで、長寿研究の中心となりつつあります。
血管の太さというと、血管は最も太い大動脈から最も細い毛細血管まで、かなりの差があります。心臓から送り出された血液が初めに通る大動脈の直径は25㎜ほどで、500円玉の直径とほぼ同じの太さです。細動脈は0.5㎜で、シャープペンシルの芯くらいの太さとなっています。血液を末梢から心臓に送り返す細静脈の直径は0.5~1㎜ほどの太さです。
枝分かれした細動脈と細静脈をつなぐ毛細血管では、細胞壁を通して栄養素と酸素を送り出し、老廃物と二酸化炭素を受け取る交換が行われています。その毛細血管は毛の細さの血管と書かれていても、髪の毛の太さは0.06~0.15㎜で、毛細血管は5~8μm(マイクロメートル)と、産毛の太さ(0.006㎜)の7分の1ほどの太さとなっています。8μm(マイクロメートル)というと、蜘蛛の糸の太さでしかありません。ちなみに1μmは1000分の1㎜です。
これだけ細い血管となると、血管にダメージを与えるブドウ糖や中性脂肪が多くなると流れも悪くなります。赤血球の直径は8~10μmと毛細血管よりも大きいため、弾力性がある赤血球はつぶれるように変形して毛細血管を通過しています。ところが、ブドウ糖が増えると2個の赤血球が接着して(くっついて)毛細血管を通れなくなります。ブドウ糖によって、すべての赤血球が接着するわけではないので毛細血管を通過できる赤血球はあるものの、全体的に赤血球が全身の細胞に運んでくれる酸素や栄養素が少なくなり、細胞から排出された二酸化炭素や老廃物を運び去る能力も低下することになります。
中性脂肪にも赤血球を接着する作用があるので、血糖値と中性脂肪値が高い状態になると、ますます血流が低下していくようになります。
血液中のブドウ糖と脂肪酸を細胞に取り込んでエネルギー産生を行わなければならないのに、その手前の毛細血管がブドウ糖と脂肪酸・中性脂肪によって、細胞に酸素を送ってエネルギー産生のために働く赤血球が通りにくくなったのではエネルギーが不足することにもなります。そこで私たちは食事と運動のタイミングによって、血液の流れを解決するためにメディカルダイエットを普及しているわけです。