大脳皮質に記憶された短期記憶は。睡眠中に記憶の引き出しに仕舞われて、それが長期記憶になっていくのですが、その出し入れの役割をしているのは海馬というタツノオトシゴに似た形をした情報整理をする器官です。
睡眠中には脳は眠った状態ではあっても、眠りには深さの違いがあって、深い眠りのときには脳は大きく休んでいるために記憶の出し入れは行われていません。記憶の出し入れが行われるのは眠りが浅くなったときで、その状態のときに夢を見ています。
起床して覚えている夢は1つか2つですが、睡眠中には何度も夢を見ているものの、覚えていないだけです。浅い眠りのときには眼球が動いていて、これはレム睡眠と呼ばれます。急性眼球運動(rapid eye movement)の文字を取ってREM(レム)とされています。
深い眠りのときには、眼球は動いていないのでノンレム(non rapid eye movement)睡眠と呼ばれます。
深い-浅いの睡眠周期は個人差があるものの、平均すると90分周期で、45分は最も深い睡眠状態に向かい、後半の45分は浅い睡眠状態に向かうという大きな波を繰り返しています。
6時間の睡眠時間だと4回の大きな波があり、3回は夢を見る時間があり、そのときには脳の記憶の出し入れが行われています。このときに過去の記憶が引き出されて、新たな記憶と組み合わされて更新が行われます。
元から多くの記憶が蓄積されていれば、多くの更新が行われて、記憶の質が高まっていきます。また、睡眠の機会が多いほど記憶を更新する機会が多くなります。睡眠の機会といっても昼寝や居眠りのような短時間の睡眠ではなく、夜から朝までの睡眠のことを指しています。
ということは、年齢を重ねるほど記憶の更新が行われて、確固たる記憶になっていくということで、これが年齢を重ねても過去の記憶が失われない理由となります。
この仕組みは、忘れたい記憶があっても、なかなか消えることがなくて、夢の中に出てきて、起きてからも記憶に残って、辛い思いをすることになる仕組みでもあるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕