血流がよくないと、血液を勢いよく流れさせるために心臓から送り出す血液の圧力が高まります。心臓から送り出された血液によって動脈にかかる圧力が血圧で、一定の範囲以上に血圧が高まった状態が高血圧となります。運動をすると一時的に多くの血液が必要になることから血圧は上昇します。息を止めてもできる強い負荷がかかる無酸素運動では血圧は大きく上昇します。これに対して、有酸素運動は、平常時に比べると血流量は増えるものの、酸素を取り込んで軽く身体を動かすものだけに、大きく血圧が上昇するようなことはありません。
通常で血圧が高めの人の場合には、簡単にできる有酸素運動である歩行なら、かえって血圧が下がっていきます。これは歩くことによって血流が盛んになることで、急に多くの血液を送り出す必要がなくなるので血圧が下がっていくということです。血圧が上昇する原因は塩分(ナトリウム)の摂りすぎやストレスなどもありますが、案外と大きな影響を与えているのは酸素の不足と栄養成分の不足です。
酸素は全身の細胞を正常に働かせるために欠かせないものだけに、酸素が不足すると早く酸素を取り込もうとして血圧を上昇させます。激しい運動をしたときに呼吸が荒くなるのは酸素が大きく不足したことを示しています。タバコを吸っている人は、肺から血液中に入る酸素が減るので、血圧が上昇します。運動で上がった血圧は運動をやめれば元の状態に戻りますが、喫煙で上がった血圧はタバコを吸っていないときでも上がってしまいます。栄養成分が不足しているときにも、細胞が早く取り込もうとして血圧が上がります。この場合には栄養が足りた状態になれば、血圧は安定していきます。
歩くことは酸素を取り込むだけでなく、血管を柔軟にする役割もあり、血管を老化させる血液中のブドウ糖(血糖)と中性脂肪を減らす役割もあります。歩くことによるエネルギー消費によって、血液中のブドウ糖と中性脂肪が使われることから、健康な血管によって血流が盛んになっていくということです。