治検13 未病状態からの回復

“未病”は「みびょう」と読んで、健康と病気の間の状態をいうのが一般的な認識です。健康診断を受けて、検査数値が病気の診断基準に達していれば、これは病気と診断されます。検査数値が診断基準に達していなくても正常値を超えていると境界域や予備群という呼ばれ方をします。

これが未病だと認識されることもあるのですが、未病は検査結果だけで判断されるわけではありません。未病は、自覚症状がなくても検査で異常が発見される場合と、自覚症状があっても検査では異常がみられない場合に分けられています。

この分類は日本未病学会と共通するところがあり、同学会では未病1、未病2としています。同学会は東洋医学の学会と勘違いされることがありますが、西洋医学の医師が東洋医学の発想で診断・治療するというスタンスで、これに賛同した各専門家(中には東洋医学の治療家も)が結集しています。

前半の「自覚症状がなくても検査で異常が発見される場合」は、大抵の生活習慣病が該当します。生活習慣病の肥満だけは外見から判断されることはあっても、高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)などは見た目ではわかりません。

生活習慣病の多くは血管にダメージを与えて、動脈硬化が起こり、さらに心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)に進行すれば、自覚症状では済まず、救急搬送をされる状態にもなります。

後半の「自覚症状があっても検査では異常がみられない場合」は、東洋医学のイメージに近いところがあります。しかし、検査の技術が進んだことで、以前は発見できなかった疾患がわかってきて、新たな発想が求められるようになっています。

“未病”は健康と病気の間という位置づけは変わらないものの、自分の理解と努力によって健康状態に戻ることが可能な状態です。医療を利用したとしても、頼りきりではなく、それに食事や運動といった自分でできる余地がある状態は未病です。

この段階を過ぎて、医療に頼るしかなくなったのが病気で、その前の段階で発見するための健康診断が行われます。そこで検査数値に異常が見られるなど、リスクが指摘されたら、自分の力で予防・改善に取り組むべきで、そこに「治検」の意義があるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕