治検22 メタボリックシンドロームの確認

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積によって、インスリンの働きが低下するインスリン抵抗性が起こり、糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧などの動脈硬化の危険因子が高まる状態をいいます。

メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)は、日本では内臓脂肪症候群と一般には訳されています。メタボリックは代謝を意味するメタボリズム(metabolism)が由来で、代謝低下症候群が正式な訳として使われることもあります。

内臓脂肪が蓄積されると、脂肪細胞から生理活性物質のアディポサイトカインが異常に分泌されます。アディポ(adipo)は脂肪、サイトカイン(cytokine)は生理活性物質を意味します。アディポサイトカインによって血圧の上昇やインスリン抵抗性を引き起こすため、動脈硬化のリスクが高まります。

これまでの健康管理のための診断は、早期発見、早期治療を目的としていたのですが、メタボリックシンドロームを掲げた特定健診・特定保健指導では、血管を守ることによって健康維持を図るという新たな発想で始まりました。

特定健診では、腹囲(へその高さでのウエスト周囲径)が男性では85cm以上、女性では90cm以上であることに加えて、血糖値、血圧、中性脂肪値、HDLコレステロール値のうち2項目以上が該当する場合に判定されます。

また、喫煙している場合には、1項目が該当することでも判定されます。

女性は男性に比べて小柄な人が多いのに、基準となる腹囲が90cm以上ということで、女性でメタボリックシンドロームと判定される人は少なく、数値の見直しは特定健診・特定保健指導が始まった2008年から指摘されてきましたが、いまだに数値の変更はされていません。

メタボリックシンドロームと判定された人は、特定保健指導が行われて、内臓脂肪を減らすための積極的支援が行われます。1項目が該当する人には動機付け支援が行われます。積極的支援は、保健師か管理栄養士による保健指導が3〜6か月間行われます。動機付け指導は、生活習慣病の知識や改善法を伝えることを指しています。

医療機関で治療を受けていて医薬品を使っている人は、特定健診でメタボリックシンドロームと判定されても、特定保健指導の対象者とはされていません。また、前期高齢者(65〜74歳)は2項目が該当しても動機付け支援がされるだけとなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕