治検3 まだ浸透していない専門用語の変化

血液検査によって自分の体内の状態を確認することができる数値について知っても、その数値に使われる用語が変わったら、混乱を起こすことにもなります。

前々回(治検1)で登場した肝臓・膵臓・腎臓の状態を確認するために使われるGOT、GPT、γ-GTPは以前から使われてきた用語であることから随分と浸透してきました。ところが、このうちGOTとGPTは別の呼び名もあって、AST、ALTと表示されることもあります。

そのように変わってきたのは随分と前のことではあるのですが、今も以前の名前が使われることがあります。ASTはGOTのこと、ALTはGPTのことです。両方が併記されているものもあれば、以前のものだけ、新たなものだけという表記もあって、ますますわからなくなったという人も少なくありません。

脂質異常症は、以前は高脂血症と呼ばれていました。呼び名が変わったのは2007年のことで、それ以降の数年間は高脂血症と脂質異常症は同じもので呼び名が違うだけなのか、それとも違うものなのか患者や検査を受けた人が混乱する場面は多く見られました。

高脂血症を脂質異常症に変更したのは日本動脈硬化学会で、動脈硬化性疾患予防ガイドラインに掲載されました。高脂血症の対象とされた中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールのうち中性脂肪とLDLコレステロールは数値が高い状態は健康によくないことであるのに対して、HDLコレステロールは数値が高いほうがよい状態で、低いとLDLコレステロールが増えるという特徴があります。

こういったことから脂質異常症に変更されたわけですが、いまだに書籍や雑誌、ネット情報では高脂血症が使われていることもあります。また、口癖なのか、ついつい高脂血症を使ってしまう医師もいて、このような混同が患者やその家族、健康を気づかう人たちを混乱させることにもなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕