理想実現のための代謝促進13 筋肉が増えにくいのは日本人の体質なのか

日本人は身体が冷えやすい体質だと言われます。体温を決めるのは血液の温度で、温かな血液が早く流れることで身体全体を温めることができます。手足が冷える人は血液温度が低いからではなくて、血流が低下しているのが大きな原因です。

血液温度は民族によってほぼ同じで、日本人は37℃ほどです。これに対して欧米人や北方アジア人(中国や韓国、モンゴルなど)は38℃ほどと、1℃も違っています。この差は筋肉量の差であると説明されることも多いのですが、やせていて、筋肉が少ない欧米人でも、日本人はシャツの上に、もう1枚を羽織らないといけないような気温のときに半袖で平気で外を歩いているというシーンを目にすることがあります。

これは筋肉量の差というよりも、筋肉が作り出すエネルギー量の差が要因です。全身の細胞の中で作り出されるエネルギーのうち、生命維持に必要な基礎代謝は70%ほどで、その基礎代謝の70%ほどは体熱産生に使われています。つまり半分ほど(70%×70%=49%)は体温の維持に使われているわけです。

筋肉が多いほど体熱産生が多いことになりますが、エネルギー源となる脂肪酸が細胞の中でエネルギー産生を担うミトコンドリアに取り込まれる必要があります。そのために必要になるのがL‐カルニチンです。L‐カルニチンは脂肪酸を結びつけてミトコンドリアの膜を通過させる運搬役(トランスポーター)となっています。

L‐カルニチンが多いほどエネルギーが多く作られ、体熱産生が高まっていくわけですが、体内でL‐カルニチンを合成する能力は20歳代前半をピークに低下していきます。L‐カルニチンの合成量と食事での摂取量を比較すると、体内で生合成されるのは全体の約4分の1、食事からの摂取量は約4分の3とされています。

これは欧米人のデータで、1日のL‐カルニチンの摂取量が200mg以上の人の食生活に基づいています。これだけの量のL‐カルニチンを摂取するには、部位にもよるものの、牛肉なら200〜300gを毎日食べ続けるような欧米人のような食生活となります。

筋肉が増えやすい欧米人は食事によるL‐カルニチンの摂取量が多いのに対して、日本人は食事でL‐カルニチンを増やしにくく、これが運動をしても筋肉が増えにくい要因となっています。日本人が運動によって筋肉を増やそうとしたら、L‐カルニチンを摂取するのが最も効果があり、近道な方法となるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕