代謝促進というと、一般にはエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)をエネルギー化させることがイメージされていて、いわゆる燃焼効果による体脂肪の減少が求められます。これは代謝の前半の“異化”であって、後半には“同化”が控えています。
同化については次回に説明するとして、今回はエネルギーを作り出すほうの代謝について紹介します。エネルギーを作り出しているのは細胞のミトコンドリアという小器官で、エネルギー源の糖質はブドウ糖に、脂質は脂肪酸に、たんぱく質はアミノ酸に変化して、どれも高エネルギー化合物のアセチルCoAに変化して、ミトコンドリアのエンジンに相当するTCA回路に入っていきます。
TCA回路では9段階の変化を経て、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作り出されます。この仕組みがあるので、エネルギー源が細胞に取り込まれればミトコンドリアに入って、エネルギー化されると考えたいところでしょうが、ミトコンドリアに入るときには条件があります。
エネルギー源の中でも脂肪酸はエネルギー量が高くて、エネルギー代謝を高めるためには脂肪酸が効果的にミトコンドリアに取り込まれるようにしなければなりません。ちなみに、脂肪酸は1gが約9kcalのエネルギー量があるのに対して、ブドウ糖とアミノ酸は約4kcalと2倍以上になっています。
脂肪酸は単独ではミトコンドリアの膜を通過することができなくて、脂肪酸はL‐カルニチンと結びつくことによって初めて通過することができます。L‐カルニチンは肝臓で必須アミノ酸のリシンとメチオニンから合成されるものの、合成のピークは20歳代前半となっています。
年齢を重ねるにつれて合成量は減り、それにつれてエネルギー代謝も減っていきます。L‐カルニチンは以前は医薬品(カルニチン欠乏症の治療薬)の成分でしたが、今では食品の成分としても使用が許可されています。そのおかげで、脂肪代謝を促進する成分として摂取することができるようになっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕