発達支援推進46 学習障害としての運動機能への対応

発達障害の学習障害では、感覚過敏によって学びにくい子どもに対する対策が進んでいます。視覚過敏から白い紙がまぶしく見えて、紙に書かれた文字がよく見えないということがあります。その場合には紙の色を変える、見やすい形や色の文字にするといった方法が採られています。

体育も学習の一つと考えると、感覚過敏のために体育で学ぶときに支障が出ている場合には、対処をすべきですが、そのようなことは、あまり聞くことがありません。

白い色がまぶしく見えるということでは、運動する場所は体育館でも屋外でも白線が引かれます。まぶしいだけでなく、白い線がよく見えないという視覚過敏もみられます。視覚障害者の場合には、白線が見えづらく、コースを正確に走れない人のために色を変える、音を利用して誘導するという別の方法も採られています。

しかし、発達障害の視覚過敏に対応する調整は行われず、一般的な方法に合わせて実施することが求められているのがほとんどです。見えにくいものを見やすくすることで、運動の機会を均等に与えるのは発達支援の基本的な対応のはずです。白線だけでなく、その横に細くてもよいので別の色の線を引く、といった方法も考えられます。

見えにくいものを見やすくするということでは、発達障害児は動くものへの対応がしにくいことがあり、キャッチボールが苦手ということもあげられています。

運動面での不器用さについては前回、発達性協調運動障害と取り上げて紹介していますが、運動が苦手と決めつけるのではなく、発達障害児が10%もいる時代には、発達障害としての対応も考えておくべきです。

障害者差別解消法では、障害者に対して合理的な配慮を行うことが求められています。この法律の障害者には発達障害者も含まれています。差別に当たるようなことが行われる場合には合理的な説明が必要とされていて、その説明ができないようなことはしてはいけないとされているのです。

その考え方からすると、発達障害児の運動面の困難さに対する“差別”は解消されていないと指摘されても仕方がないことです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕