発達障害がある人は、子どもに限らず、入浴嫌いが多いことが指摘されています。その一つは感覚過敏の触覚過敏があって、お湯を実際の温度以上に熱く感じることがあります。感覚過敏による熱さの過敏反応は、飲料にも起こりやすく、お茶も熱くて飲めないという反応があります。
実際の温度ではなく、家庭以外で入浴したときに非常に熱く感じたことが原因になっていることもあります。
また、温度だけでなく、シャワーの水流が痛く感じて、シャワーを避けようとすることもみられます。シャンプーが目に入って痛かったという記憶がシャワー嫌いにさせていることもあります。
身体を洗うことに苦手で、こすって洗うのが上手にできない、それを指摘された嫌な記憶が消えずに、入浴そのものに抵抗感があるという子どもも少なくありません。
発達障害があると顔にお湯がかかること、髪が濡れることに抵抗感がある場合もあり、他人に触れられることを嫌って、親や兄弟姉妹などとの入浴を避けようすることがあります。
こだわりが強くて、自分が決めた順番に、決めた通りに進まないと気が済まないところがあり、それが乱されることを嫌って、一人で入浴したいのに、家族と入浴しなければならないことに抵抗を示すこともあります。
入浴は短時間のうちにこなさなければならないことが多く、どのような順番で取り組み、どこで終えるのかがわからないことから入浴が嫌いになることも少なくありません。
入浴するのは身体をきれいにすることだという、普通に考えたらわかると思われることが理解できないことがあるのも発達障害の特性の一つです。不潔にしていたら、友達や先生から嫌われるということを話しても、清潔の観念がないこともあり、なぜ入浴しなければならないのか、わかるようになるまで抵抗が続くこともあります。
入浴そのものは嫌いではないものの、入浴前にやっているゲームやテレビ番組を中断されることが嫌で、入浴は後回しになり、入浴しなくてもよいという反応が見られることもあります。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕