発達障害児が子どもの10%にもなっていて、それが生涯にわたって継続するということが明らかにされているのに、子どもを直接的に支える保護者だけでなく、親戚縁者にも地域の人たちにも発達障害児の困難さが充分に理解されていないことがあります。
発達障害児の支援活動をしていると、兄弟姉妹のうち保護者が相談や支援を受けに訪れたときに、相談対象の子どもだけでなく、その弟や妹も対象者でないかと感じることが多々あります。そのことが心配になって、話をしても、他の子どもは大丈夫だからと言って、聞く耳をもたない保護者がいます。
発達障害は身体障害とは違い、また精神障害とも違って、見てわかる、話をしてみれば必ずわかるということではないので、わかりにくいところがあります。保護者の中には、弟は頭が良くて行動にも問題がないので発達障害でないと思い込んでいる人も少なからずいます。
全体的には10%の確率とされているのに、2人とも発達障害であることを認めたくないという心理があるのも理解しています。保護者は初めて子どもの発達障害と対面して、それなりの勉強もしているので、ある程度の知識はあります。しかし、それは子どもに特性として現れたことに詳しくなっているだけであって、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害のすべてを知っているわけでもないということがあります。
また、3種類のタイプが重なって現れることがあり、中には3種類ともが重なっていることもあります。自分の体験だけで判断するのではなく、そのことを熟知している発達障害児支援施設の専門家に相談してほしいのですが、アドバイスをしようにも聞く耳を持たない保護者がいるのも事実です。
発達障害の代表的な3タイプの個別の改善への対応だけでなく、複合した状態でも対応できる専門家も少なからずいます。状態が複合すると、対策も単独と比べて難しくなっていきます。それだけに遺伝特性もある発達障害の早期発見のために、可能性を否定するようなことだけは避けてほしいのです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕