エネルギー代謝67 L‐カルニチンの減少による低下

脂肪が効率よくエネルギー化されるためには、細胞の中でエネルギー産生を行っているミトコンドリアに脂肪酸を多く通過させる必要があります。脂肪酸のエネルギー量は1gあたり約9kcalと、ブドウ糖の約4kcalの2倍以上のエネルギー量があります。多くのエネルギーを細胞の中で作り出すためには、脂肪酸を多く取り込むのがよいわけですが、脂肪酸がミトコンドリアに取り込まれるためには条件があります。

その条件というのは、L‐カルニチンが充分にあることです。

L‐カルニチンは体内で合成される代謝促進成分で、必須アミノ酸のリシンとメチオニンを材料にして主に肝臓で作られています。その合成のピークは20歳代前半で、その後は年齢を重ねると徐々に合成量が減り、その分だけ代謝が低下します。以前と同じ食事量、同じ運動量であっても体脂肪が増えていくのは、L‐カルニチンが不足したための代謝低下のせいです。

脂肪酸は単独ではミトコンドリアの膜を通過することができなくて、L‐カルニチンと結びつくことによって通過することができます。だから、L‐カルニチンが不足すると脂肪酸がミトコンドリアに取り込まれにくくなり、取り込まれなかった脂肪酸は血液中に戻り、余分なものとして、肝臓で中性脂肪に合成されて、脂肪細胞の中に取り込まれていくことになります。

L‐カルニチンの材料は必須アミノ酸のリシンとメチオニンなので、これが不足するとL‐カルニチンの合成量が減るわけですが、これらを摂ったからといっても、合成量が減っている段階では、これだけでは不十分です。

L‐カルニチンは以前は医薬品の成分だったのですが、今では食品の成分としてサプリメントでも摂ることができるようになっています。これを活用して、エネルギー代謝を高めることができます。L‐カルニチンはダイエット成分としても知られていますが、それは脂肪酸がL‐カルニチンによってミトコンドリアに取り込まれて、代謝が高まった結果なので、単なるダイエット成分ではないのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)