支援のスタートは理解することです。これは発達障害の支援に限らず、少なくとも支える必要がある方々に対して何か行動を起こそうと考えるときには、まずは実態を把握して、どんな困難さがあるのかを理解することから始まります。
発達障害に関しては、子どもの8.8%に発達障害があり、それも通常学級で学ぶ子どものうち教師が把握している(おそらく発達障害であろうと考える)数であって、認識不測による見逃しを加えれば10%を超えているはずです。さらに、特別支援学校、特別支援学級に通う子どもを加えたら、実際には、どれだけの数になるのかわからないという状態です。
私は児童発達支援施設を運営する団体の役員を務めて、施設に通う子どもの保護者と話していて、その兄弟姉妹でも発達障害の可能性が高いと思われても、それを認めない、医師の確認を得ていないという保護者の例も少なくありません。
支援する側の立場だけでなく、地域全体の支援を考える立場でも、もっと知ってもらい、理解してもらわないことには改善の支援が遅れて、せっかくのチャンスを逃しかねないと感じることも多々あります。
3歳児検診で発達障害の疑いが指摘された場合、最大のチャンスは未就学の期間、つまり小学校に入学する前の期間です。この期間にこだわるのは、小学校から集団生活が始まること、学ぶことが急に多くなることだけではありません。
脳の発達の凹凸を改善するには、脳の中心部の脳幹の機能を高めることが重要で、早くアプローチするほど好結果につながることがわかっているからです。
発達障害者支援法によって、早期発見、早期支援、早期改善の重要性が訴えられているものの、法律の存在も知らず、発見のための理解もできていない実情に直面して、なんとかできないかと常に考えています。
その理解のためには、まずは発達障害の実態と、どのような特性があるのか、そのために何ができるのかを考えることから始めるべきですが、そこまで至っていないのが事実だと認識しています。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕