発達栄養学17 医薬品成分から食品成分になった代謝促進成分

細胞内のミトコンドリアの中では糖質や脂質をエネルギーとして代謝させるためのエネルギー産生が行われています。代謝に必要となる栄養素であるビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)が知られていますが、この他に代謝促進成分のα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10が必要となります。この代謝促進成分は、どれも体内で合成されているものの20歳代をピークに減少していく成分で、日本人は歴史的に長生きしたことがないことから高齢者になると大きく減少していきます。
また、代謝促進成分は医薬品として使われてきたことからエビデンス(科学的な裏付け)が確認されていますが、欧米では食品から抽出・合成することができるようになり、食品としても使用することが許可されていました。
日本の企業が酵母を原材料として発酵技術によってコエンザイムQ10を開発して、これが2001年に日本で食品として使用することが許可されました。日本はコエンザイムQ10の製造に関しては世界シェアの約90%を占めています。
L‐カルニチンは肉抽出エキスに含まれる必須アミノ酸のリシンとメチオニンから合成されるアミノ酸の一種で、スイスの製薬会社が開発したL‐カルニチンの研究成果が評価され、2002年に食品として使用することが許可されました。
α‐リポ酸は脂肪を加水分解した酸から合成されますが、2004年に食品として使用することが許可され、これで3種類の代謝促進成分がサプリメント素材として使用することができるようになりました。