発達栄養学28 サプリメントで栄養補給はできるのか

発達障害に多くみられる感覚過敏によって、どうしても食べられない食品があります。以前は“1日30食品”という標語が掲げられたことがあります。これは今では使われなくなっていますが、それには二つの理由があげられます。一つは食品数の調査をしたときに、1日に30食品を食べている人が1%もいなかったことです。もう一つの理由は国民健康・栄養調査の結果ですが、必要とされる栄養素が補給されている人の食品数を数えたところ、平均17食品だったことです。
しかし、これは極端な偏食がない平均的な食生活をしている人の結果で、しかも国民健康・栄養調査は20歳以上の成人を対象としているので、発達障害児に該当するかどうかはわからないところがあります。生命維持と活動のために必要な栄養素は基本的には全世代に共通しているものの、子どもには特に多く摂取してほしい栄養素があります。
例えば、必須アミノ酸は9種類(バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン)ですが、乳幼児の場合にはアルギニンを加えた10種類が必須アミノ酸となっています。必須アミノ酸というのは、体内では合成することができないアミノ酸を指しています。
食事では摂取できない栄養素はサプリメントから摂ろうと考えることがありますが、サプリメントは安全性試験を実施するときに、子どもや妊娠可能な人は対象としてはいけないことになっています。そのために、あるサプリメント商品が着実に子どもに安全であるのか、効果があるのかは確認されていないのです。しかし、基本的なビタミン、ミネラル、アミノ酸といった栄養素は研究が進められ、安全性も有効性も確認されています。栄養補給に使えるサプリメントと、そうはいかないサプリメントがあるということです。