発達栄養学3 朝食抜きでは脳のブドウ糖が不足する

ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源で、脳細胞には三大エネルギー源のうち脂肪酸、アミノ酸は入ることができなくて、ブドウ糖だけが毛細血管から脳細胞に入ることができます。ブドウ糖が多く含まれた糖質(ご飯、パン類、麺類、砂糖など)を多く食べていれば、脳細胞に多くのブドウ糖が取り込まれ、それを長く使い続けることができるということなら、脳がエネルギー不足になるようなことはありません。ところが、脳は、そんな単純な仕組みにはなっていません。
脳細胞に入ったブドウ糖の保持時間15時間ほどとなっています。夕食を19時に食べて、朝食が7時なら、その間は12時間なのでブドウ糖が不足することはないのですが、朝食を抜いてしまうか、ブドウ糖が含まれていないもので朝食を済ましてしまうと、10時くらいにはブドウ糖が不足します。ブドウ糖は一定の量がコンスタントに使われているわけではないので、朝食の時間にブドウ糖が補われなかったとしても、急にブドウ糖不足で脳の働きが止まってしまうようなことはありません。
生命維持のために、ブドウ糖が不足してきたら消費量を減らして長持ちできるようにします。自動車のガソリンが減ってくると、だんだんとエンジンの働きが悪くなり、徐々にスピードを落としながら走るのと同じことが脳でも起こっています。10時を過ぎると充分な量のブドウ糖がないことから、頭の働きが保たれなくなるだけではなくて、全身をコントロールしている脳の機能が低下することから全身に影響が出てきます。昼食までの2時間のブドウ糖不足が積もり積もってきたら全身に悪影響が出ることは容易に想像ができることです。
発達障害の自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害ともに、脳には負荷がかかりやすく、ブドウ糖の消費量が多いことも容易に想像がつくことです。子どもの場合には糖質制限を避けるのは当然のこととして、朝食を抜くようなことをしてはいけないということです。