発達栄養学47 和食と洋菓子の組み合わせはよくないのか

和食は健康的な料理だとされています。肉も油も少なくて、全体的にエネルギー量が洋食よりも低くて、糖と脂肪の吸収を抑える作用がある食物繊維が多く使われています。食物繊維には便通をよくする作用もあります。これだけを見ると健康の維持には和食がよいように思われがちですが、そうではないという考えもあります。洋食には基本的に使われない砂糖が、和食には優先的に使われているからです。
和食の調味料といえば「さしすせそ」で、親から教えてもらう料理の基本中の基本となります。これは調味料を加えていく順番のことで、砂糖(さ)、塩(し)、酢(す)、醤油(せ)、味噌(そ)となります。醤油の古語の“せうゆ”から「せ」に、味噌は後ろの文字を採っています。砂糖がトップにきているのは五十音の順番にしたからではなくて、和食の味付けには砂糖を初めに使います。砂糖は浸透に時間がかかり、塩で味をつけ、酢は熱で酸味が飛びやすいので後半に入れ、醤油と味噌は香りづけの仕上げとして使うのが基本となります。
塩は浸透圧が高くて食材に浸透しやすいので、砂糖よりも先に入れると甘みが入らなくなることも、砂糖を塩よりも先に使う理由となっています。砂糖は食材の中まで浸透するために、この方法だと舌で味わっているよりも多くの量が使われています。
浸透圧は細胞膜の内部と外部を液体が移動するときの圧力のことで、膜を通して液体の濃度が同じになろうとする性質があります。浸透圧が高いというのは、濃度が高い(濃い)状態を指します。料理の場合には塩分が濃いほうから塩が食材に染み込み、食材の水分は外に出るようになります。この性質によって料理に味付けがされるわけです。
和食は調味料として砂糖が多く使われているので、デザートとして食べる和菓子には砂糖は多くは使われません。それに対して洋食には砂糖が使われないために、洋菓子には砂糖がたっぷりと使われています。ということは、和食を食べてから洋菓子を食べると、砂糖の摂りすぎになってしまうということです。