発達障害児の特性として“極端な偏食”があげられます。以前は自閉症スペクトラム障害の特性と考えられていたこともあるのですが、発達障害の研究が進み、食品に関する五感(味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚)と食品の特性の研究が進む中で、発達障害児の多くにみられることがわかってきました。
普通に食べることができると思われているものなのに、それを口にしないのは一般的には好き嫌いととらえられがちです。ところが、発達障害のために食べられないのは、好き嫌いというレベルの話ではなく、生理的に受けつけない、身体が拒絶をしているという状態となっています。
これを理解せずに無理に食べさせようとすると、これがきっかけになって将来的に食べられなくなったり、無理に食べさせようとする親のことが嫌いになって、親が作った料理がまったく食べられなくなるということにもつながりかねません。
どれくらいの拒絶反応であるのかを理解することは重要で、牛乳を飲めない子どもに無理に飲ませることは、同じ色のバリウムを無理強いしているようなものと考えることができます。バリウムを飲んで胃カメラ撮影をしたことがない人でも、他の人の体験談を聞くだけでも苦しさが想像できることです。
牛乳の味が嫌いであろうと想像してココア味やイチゴ味にしても、バリウムに味をつけても飲みにくい状態を考えると、その克服は困難であることがわかります。
牛乳が飲めない子どもには味に慣れさせるためにスポイト1滴の量からでも飲ませることが指導されることがあります。これは牛乳に慣れさえすれば飲めると思われていることからの考えですが、発達障害の自閉症スペクトラム障害に特に多くみられる感覚過敏の子どもでは、視覚過敏のために白いものは眩しく感じて、見るだけでもつらくて、飲むことができないという例もあります。
これとは逆に、白い食べ物、白い飲み物しか好まないという子どももいます。この多様性が発達障害の特性そのものといえます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕