発達栄養121 咀嚼が影響する味覚過敏

よく噛んで食べるように指導しても、噛むことなしに飲み込もうとする子どもがいます。その多くは感覚過敏によって噛むことによる触覚過敏が多いのですが、味覚過敏によって噛まずに飲む子どもも少なくありません。

触覚過敏の場合は、噛むことによる刺激が歯茎や口腔内を強く刺激するだけでなく、聴覚も強く刺激して不快な刺激音を避けるために噛まないということがあります。その場合には、同じ食材であっても軟らかく調理することによって、噛まずに食べられるようにすることで栄養摂取を確保することはできます。

ところが、味覚過敏の場合には、噛むことによって味覚の刺激が強まることから、これを軟らかくしても味覚の刺激が弱まるわけではありません。煮ることによって、食材の細胞が壊されて、中の味が引き出されて、味覚刺激を強くすることになります。

例として正しいかどうかはわからないのですが、激辛の料理を噛んで食べたら、食材の中に染み込んだ辛味成分が出てくるので、より辛味が増してしまいます。唐辛子も噛むことによって中の強い辛味成分が出てくるので、噛まずに飲み込むことで激辛料理も克服することもできるとされています。

辛い量だけでなく、酸味が強いものも味覚過敏がある子どもは苦手で、少し酸味があることでおいしく感じるものを、まるで皮を剥いたレモン1個を、そのまま口に突っ込まれたようにも感じることがあります。

そのような状態にあるのに、しっかりと噛んで食べるように、長く咀嚼してから飲み込むように言っても、それは酷なことです。咀嚼が苦しく感じる味覚障害の子どもには味の感じ方に合わせて、食べ方を指導する必要があるのです。