消化は、飲食したものを分解して、栄養素として吸収される形にする過程を指しています。消化器は、飲食物が入る口腔、食道、消化を行う胃に続いて、吸収する小腸と大腸、不要物を排泄する直腸と肛門といった消化管のほか、消化管の働きを調整する肝臓や脾臓などの消化腺も含まれます。
消化管は、口から肛門までをつなぐ1本の管で、その長さは約9mと、身長の約6倍の長さがあります。このうち多くを占めるのは腸(小腸と大腸)で、日本人の腸の長さは約7.5~8.5mと、欧米人よりも約2mも長くなっています。
胃は嚥下された食塊(食べた物)を一時的に貯えるとともに、胃液による消化と胃壁の蠕動運動によって食塊を粥状にして、十二指腸に送っていきます。胃液によって胃の中で分泌されるのは糖質とたんぱく質の消化液だけです。
消化時間は栄養成分で異なり、完全に消化されるまでに糖質(主食:ご飯、パン、麺類など)は約2時間、たんぱく質は約4時間かかります。食物繊維は消化されない性質があり、食物繊維が多く含まれる食品は消化時間が長くなります。
胃は空腹時には縦方向に細長く、食べ物が入ると横に広がっていきます。容量(膨らんだ状態)は、男性は約1.4ℓ、女性は約1.3ℓとなっています。
小腸は、胃と結ばれる十二指腸、空腸、回腸へと続く細い管で構成されています。小腸液のほか、膵臓からの膵液、肝臓からの胆汁と混じり合い、小腸でも消化は続いています。粥状液から栄養素が吸収され、残りが大腸に運ばれていきます。