腸壁には栄養素と反応する酵素があり、その酵素が存在する部位で反応が起こり、栄養素が吸収されています。栄養素が主に吸収されるのは小腸(十二指腸、空腸、回腸)ですが、大腸ではビタミンB₂、ビタミンB₆、パントテン酸、葉酸、ナイアシン、ビオチン、ビタミンKが合成され、それらは大腸壁からも吸収されています。
栄養素は、それぞれの種類によって吸収率が異なっています。一般にビタミンの吸収率は60~90%で、ミネラルよりも吸収されやすい特徴があります。
カルシウムの吸収率は乳製品で約50%、動物性食品で約30%、植物性食品で約20%とされます。カルシウムは胃の中でイオン化してから吸収されるため、胃液が濃い状態の空腹時に摂ることで吸収率を保つことができます。カルシウムはビタミンⅮとともに摂取することで5~10%ほど吸収率が高まります。また、カルシウムはリンやシュウ酸とともに摂ると結合したものは排出されるので吸収率が低下します。
シュウ酸は、ほうれん草などの緑黄色野菜に含まれていて、カルシウムと結合してシュウ酸カルシウムになると吸収率が低下しますが、さらに血液中で結合すると排泄されます。
鉄の吸収率は動物性食品に含まれるヘム鉄では15~25%、植物性食品に含まれる非ヘム鉄では2~5%と大きな差があります。鉄はビタミンCとともに摂取することで吸収率が約3倍も高まります。鉄はお茶に含まれるタンニンと結びつくと吸収率が低下します。
亜鉛の吸収率は約20~30%ですが、ビタミンCとともに摂取すると吸収率が50%ほど高まるとされます。
脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンⅮ、ビタミンE、ビタミンK)は、脂質に溶けることで吸収されるため、吸収のためには脂肪が含まれた食品とともに摂取する必要があります。