発達栄養49 大腸の働きと排出物

大腸は盲腸、結腸、直腸で構成される長さが約1.5mの管状の器官で、直径は小腸の2倍ほどあります。小腸で栄養成分を吸収された残りは、水分が多いために、まだドロドロした状態になっていますが、大腸の中で15時間ほどの時間をかけて水分が徐々に吸収され、最終的には適度な固さと量の便になって、肛門から排出されます。
直腸に固くなった便が送られてくると、その刺激が脳に伝わる排便反射が起こります。その結果、直腸にたまった便だけが排泄されます。
大腸まで送られてきた食べ物は、栄養素の90%ほどが小腸で吸収されていることから、大腸の主な役割は、水分を吸収して固形物の便を作り、腸内細菌によって小腸では分解されなかった栄養素を分解して吸収することとなっています。
1日に排泄される便は60~180gほどで、通常は70%ほどが水分となっています。水分以外では食物繊維などの消化されなかった食べ物の残りかす、腸内細菌とその死骸、はがれ落ちた腸の細胞が、それぞれ約7%ずつとなっています。
腸内細菌の総数は約1000兆個とされますが、善玉菌が増えると悪玉菌が減っていき、善玉菌の働きによる腸内での発酵が進むため、便の量が増えることになります。水分量が増えると軟便になって、便の量も増えることになります。一般には、水分量が70%前後で普通の硬さの便となり、70%以下では硬い便になって、70~80%では軟便、80%以上では下痢となります。
腸内で悪玉菌が作り出すアンモニアや硫化水素、スカトール、インドールといった有害物質は、毒素とも呼ばれています。毒素は主には大腸に棲息する悪玉菌が発生させますが、大腸は便内の水分を最終的に吸い上げる器官であり、大腸壁を毒素は通過するため、水分の吸収時に毒素も吸い上げられ、血液中に毒素が入るようになります。
血液中に入った毒素は血管に入り、門脈を通過して肝臓まで運ばれます。肝臓は有害物質を分解して無害化する解毒器官で、通常の発生量なら毒素は肝臓で充分に分解されます。しかし、毒素の発生量が増え、肝臓に送られる量が増えると肝臓では処理しきれなくなり、その処理しきれなかった毒素は、再び血管に入って全身を巡るようになります。
そして、全身の血管を巡って皮膚細胞まで送られた毒素は、皮膚の状態に影響を与え、肌荒れや吹き出物の原因となります。便秘をして、肌荒れなどが起こっている場合には、相当に毒素の量が増えていることが考えられます。