発達栄養56 自律神経調整による腸機能の改善3

自律神経の調整は難しいとされますが、外からのアプローチでコントロールが可能なこととしてあげられるのは温度の変化です。入浴の場合には38℃以下のお湯の温度では副交感神経の働きが盛んになって心身ともにリラックスさせることができます。それに対して、42℃以上の温度では交感神経の働きが盛んになって元気な状態になっていきます。
夕食の時間帯は副交感神経の働きが盛んになっていますが、夕食前に、ぬるめのお湯で入浴すると副交感神経の働きがもっと盛んになります。この状態で食事をすると、胃液とインスリンが多く分泌されて、消化がよくなり、吸収もよくなり、さらにインスリンの働きによって肝臓で合成される中性脂肪が多くなるので、栄養を多く蓄えられるようになります。これが本来の姿です。
発達障害によって自律神経の調整が乱れていると、夕方でも交感神経の働きが盛んになって、なかなかリラックスできない状態となります。そんなところに熱めの温度で入浴をしたら、もっと交感神経の働きが盛んになってしまいます。この状態で食事をすると胃液とインスリンの分泌量が減ります。これは太ることを嫌っている人にとってはよいことかもしれませんが、栄養の吸収ということでいえば、決してよいことではありません。むしろ避けるべきことで、発達障害の人では入浴温度も確認しておくべきことです。
心身ともにリラックスする温度帯の38℃は冬では寒く感じてしまします。それでは興奮作用が高まって、副交感神経の働きが調整しにくくなります。発達障害の自閉症スペクトラム障害も注意欠陥・多動性障害も副交感神経が働きにくくなっていて、そのために交感神経の働きが高まりやすい特徴があります。
消化、吸収、排泄の能力を高めるのは副交感神経の働きであるので、寒い季節には38℃にこだわらず、40℃までは許容範囲としておきます。少なくとも交感神経が盛んな状態には切り替わらないので、この温度帯のお湯に長めに浸かることを心がけるようにします。