発達栄養75 精神的なショックで牛乳が飲めないこともある

牛乳が苦手だという子どもは、色や味、喉の通り方といった五感に関する理由で飲めない、飲めなくなったということがありますが、そのほかにも五感とは違った感覚のために飲めないことがあります。その中で多いのは、牛が怖いから、臭いで嫌な思い出があるからということです。

この記憶のために、感覚過敏の反応が強く現れることもあります。牛の絵を見ただけで嫌な思い出が蘇り、牛乳は飲めてもパッケージに牛が描かれていると飲めないという例や、友だちが牛乳を吐いたことがあり、その記憶から飲めないという例もあります。
味覚過敏では、なんとか対応できる状態であっても、それに心理的なダメージが加わることで、完全に飲めなくなったということも起こります。

感覚過敏は視覚や聴覚、嗅覚が過敏であるために、刺激的な記憶が起こりやすく、このような状態では一般的な食事指導や食べ方指導では対処できなくなります。

学校では飲めるのに、家庭では親に叱られるなどした記憶から飲めないということもあります。また、学校では他の子どもは飲めているのに、自分だけが飲むのに時間がかかる、飲めないということは、その子どもにとって大きなプレッシャーになります。

こういったことは自閉症スペクトラム障害の感覚過敏だけが原因ではなく、注意欠陥・多動性障害など他の発達障害でも起こりやすいことでもあります。そのことを周囲から責められるようなことがあると、もっと苦しさを感じることにもなります。そのことは親や教師なども気づいてあげて、すぐに対処するべきですが、なかなか気づいてあげられない、気づいたとしても何をしてよいのか、何から始めてよいのかがわからないために、改善できなくなっている例もあります。